
「宇宙から安全を考える会」と「宇宙大学」による初のコラボ講演&対談を開催しました🚀
いよいよ人類が再び月を目指す時代がやってきました。未知の世界である「月面」という過酷な環境に、私たちはどう挑むのか?
本イベントでは、月面有人ローバー開発を牽引するJAXA・和田氏と、月面での燃料自給(推薬プラント)に挑む日揮グローバル・深浦氏が登壇。
先例のないシステム開発に挑むJAXAと、地球上のプラント建設で培った知見を月へ広げる日揮グローバル。異なるバックグラウンドを持つ2社が、開発の最前線と「月面特有の安全対策」という難題について語り合いました。
こんな人におすすめ

✅宇宙ビジネスや月面探査の最新状況を知りたい方
✅システム安全、リスクマネジメントに関心のある技術者・研究者
✅異業種連携やオープンイノベーションに興味のあるビジネスパーソン
✅将来、宇宙産業を担いたいと考えている学生の皆様
内閣府「宇宙スキル標準」との関連性
この講座は、内閣府「宇宙スキル標準」の以下のスキル項目に関連しています。
気づくセミナー宇宙大学と宇宙検定は、内閣府 宇宙スキル標準に掲載されています。
| スキルカテゴリ | No. | スキル項目・内容 |
|---|---|---|
| プロジェクトマネジメント | 16 | リスクマネジメント
・リスクの発生確率と影響を管理し、プロジェクトの成功可能性を最大化することができるスキル。
・具体的には、リスク管理計画の策定、リスクの識別、定性的・定量的リスク分析の実施、リスク対応計画の策定、リスク対応の実施、リスクの監視などのスキルが該当する。 ・特に、宇宙輸送機や人工衛星の開発においては、安全性や信頼性の観点を考慮したり、コストや納期等の管理を通じた、プロジェクト全体のリスク最小化が求められる。 |
| 設計・解析 | 46 | 信頼性設計
・製品やシステムを設計する際に、信頼性(壊れにくさや安定性)を考慮して設計することができるスキル。
・具体的には、各種設計・解析項目において、潜在的な故障要因の特定、冗長性の確保、FTA・FMEA(故障モード影響解析)等のスキルが該当する。 ・特に、宇宙輸送機や人工衛星の開発においては、「設計余裕の確保及び故障リスクの最小化」、「故障許容設計」が重要度の高い項目として求められる。 |
| 設計・解析 | 47 | 安全性設計
・製品やシステムを設計する際に、安全性を考慮して設計することができるスキル。
・具体的には、各種設計・解析項目において、ハザード解析や、使用頻度等を考慮した安全に使用できる要件の反映などのスキルが該当する。 ・特に、宇宙輸送機や人工衛星の開発においては、各設計・製造・試験段階にて、「故障許容設計」・「リスク最小設計」・「リスク評価」を行うことが求められる。 |
| 領域専門性 | 164 | 有人安全
・有人宇宙活動における搭乗員の生命・健康・行動の安全を確保するための設計・運用・運用支援に関する知識を有し、業務に活用できるスキル。
・具体的には、打上げ・軌道上・帰還時における乗員の安全確保、フェイルセーフ設計、緊急脱出・避難手順、搭乗員の健康管理に関する理解が該当する。 ・特に、宇宙分野においては、異常時の迅速な対応と搭乗員保護のための設計配慮が求められる。 |
参考:内閣府 宇宙スキル標準
イベント概要

■講演テーマ
月への挑戦 ~安全と組織~
■講演者
JAXA 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 有人与圧ローバーエンジニアリングセンター 技術領域上席研究員 和田 勝氏
日揮グローバル株式会社 月面プラントユニット ユニットリーダー 深浦 希峰氏
【開催日】
2026年3月13日(金)
【開催方法】
会場とオンラインのハイブリッド開催
【会場】
X-NIHONBASHI TOWER Conference Space
東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワー7階
▶日本橋三井タワー正面入口から入り、目の前のエスカレーターで2階へ。2階左手のエレベーターに乗り、7階までお越しください。
【スケジュール】
開場・受付 17:30
開始 18:00
開会挨拶
長谷川 秀夫(宇宙から安全を考える会 代表)
小林 亮二(JAXA 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 安全・信頼性推進部 部長)
矢崎 洋(一般社団法人宇宙産業機構 会長兼理事長)
対談・質疑応答 18:10
閉会挨拶(長谷川 秀夫)19:20
懇親会 19:45
閉会 20:45
「宇宙から安全を考える会」とは

ロケットや衛星の開発、並びに、国際宇宙ステーション(ISS)日本モジュール「きぼう」やISS輸送機「こうのとり」などの有人宇宙開発で培った安全技術や知見について自由闊達に議論し、さらなる進化を追求するとともに、宇宙以外の技術分野とも協働することにより、社会の安全・安心に貢献することを目指します。
公式サイト:https://iaass-japansecreta.wixsite.com/website-1
「気づくセミナー 宇宙大学」とは
(非営利型)一般社団法人 宇宙産業機構が運営するセミナー。オンライン配信をメインに、対面、ハイブリッドでも実施しています。宇宙大学では、JAXA関係者、宇宙に関するプロフェッショナル、宇宙ベンチャー、宇宙学生団体、宇宙コミュニティなどさまざまな講師が講演。学校法人ではありません。将来の宇宙産業の担い手となる人材に宇宙産業のすばらしさを知っていただきたく、宇宙産業発展のための情報発信や、人や企業がつながりを持てるプラットフォーム作りを活動の軸としています。
公式サイト:https://spaceuniversity.jp/
掲載記事
cross U(クロスユー)イベントレポート
https://www.crossu.org/event_report/260313rt/
アーカイブ動画
▼こちらの動画はダイジェスト版です。
▼こちらは全編(宇宙ディスカッションは除く)です。YouTubeのメンバーシップ登録で視聴いただけます。
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写真レポート

会場は、広々としたX-NIHONBASHI TOWER。
講演会のスタートです。

最初に、今回の主催である「宇宙から安全を考える会」代表の長谷川 秀夫さんから、「宇宙から安全を考える会」の設立趣旨と活動について。宇宙開発で培った「人命と安全を最優先する精神」を次世代や社会に継承することを目的に、定期的な勉強会や外部講師を招いた講演会を行っているとお話しくださいました。

共催のJAXA 安全・信頼性推進部 部長の小林 亮二さんのメッセージを、宇宙から安全を考える会 三井 雅美さんが読み上げます。
アポロ計画以来、50年以上遠ざかっていた月面探査がいよいよ現実味を帯びる中、先例のない未知の領域で、宇宙飛行士の安全確保とミッション完遂を両立させるシステム構築は、極めて困難ながらも人類の夢を乗せた壮大なプロジェクトであるとのメッセージでした。

宇宙産業機構 代表の矢崎 洋からごあいさつ。異なるバックグラウンドを持つ和田氏と深浦氏。宇宙・月面開発の第一線で活躍しながらも、企業文化やノウハウが異なる二人が交わることで、今後どのような変化や視点が生まれるのか楽しみであるとの言葉。

宇宙産業機構 事務局からは、
これまでの宇宙大学の歩みや、

宇宙産業機構が運営している、iSIO会員制の登録宇宙学生団体のロゴのお披露目、

宇宙検定のお知らせなどをさせていただきました。

そして、いよいよ講演&対談のスタートです。
和田さんからは、日本の月面ローバー計画について、システム安全技術、故障許容度、ハザードリスクへの対処法が詳しく説明されました。深浦さんからは、月面での水素・酸素生成プラントの開発、安全評価手法などについて。お二人の対談では、AI技術の活用可能性、そして有人宇宙システムにおける医療安全の観点について話し合われました。

講師の和田 勝さん。

講師の深浦 希峰さん。

FMA(故障モード解析)とFTA(事象tree分析)の違いについて。FMAは部品の故障からシステムへの影響を評価し、FTAは事象から原因を追跡する方法であるなど、専門的な解説もされました。

地上の極地で培ったプラント技術を転用し、月面インフラの構築に挑戦する、日揮グローバル(JGC)による、安全評価手法(HAZOP)の導入について。 宇宙業界の伝統的な基準と地上の合理的な手法を融合させ、月面開発における最適で経済的な安全評価の確立を目指しているとのことでした。

対談時も、活発に議論がなされました。
✅現状の課題
ローバーも部品点数が膨大で、従来のFMEA(故障モード影響解析)では網羅的な評価に多大な時間と工数がかかることが大きな悩みとなっている。
✅HAZOPの利点
「流量や温度のズレ」を起点にワークショップ形式で一気に議論するHAZOPは、設計の抜け漏れを防ぐだけでなく、組織間の分断を解消し、合意形成を早める効果が期待できる。
✅今後の展望
重要な機器はFMEAで深掘りしつつ、全体像の把握にはHAZOPを用いるという「折衷案」の導入により、効率的で納得感のある安全評価を目指すことで一致。

質疑応答タイムでは、参加者として来場された宇宙飛行士の若田光一さんから、NASAの安全手法とJAXAのアプローチの違いについてお話しいただきました。
人工エラー分析や「Human-in-the-Loop(HITL)」テストといった具体的な安全対策を紹介いただくとともに、安全性評価における実績データの重要性についても言及がありました。また、JAXAが初めて手がける有人宇宙システムとして、不具合発生時の対策とシステムの信頼性向上に重点を置いているとのご説明もいただきました。

長谷川さんから、締めのごあいさつ。「宇宙から安全を考える会」の視点から、長年の経験に基づいた「安全の本質」についてお話しされました。
✅「責任を取る」のではなく「果たす」
万が一の後に謝罪するのではなく、命を失わせないために事前に最善を尽くすことこそが真の責任であると強調。
✅「安心」という心理的側面の重視
技術や確率論が進歩しても、その根底にある「人間の安心」というアナログな心の状態を無視してはならない。
✅合理性を超えた備えの精神
効率だけでは救えない命を守るため、「確率は低くとも万全の対策を講じる」という安全への執念を次世代へ託したい。
宇宙を目指す人類なら皆、心に留め置きたいと思うメッセージでした。
(ちなみに、スクリーンに映し出されているのは、意図したわけではないのですが、iSIO スペース・マークです。)

みんなで記念撮影。
その後の登壇者を交えた懇親会では、ご用意した軽食やドリンクで大にぎわい🍺

懇親会スタート。
今回、現役、OB含め、JAXA関係者の方々が多く、同窓会のような談笑シーンがあちこちで繰り広げられていました。

飲み物を片手に、リラックスした雰囲気の中で宇宙トークは尽きることなく、終了時刻が過ぎ、最後はスタッフからお声がけをしてようやくお開きとなりました。

真ん中に、講師の和田さん、深浦さん。
そして、会場運営スタッフの、宇宙から安全を考える会と、iSIO宇宙学生団体の皆さん。
今回、大きなトラブルもなく、参加者の皆さまに楽しんでいただけたのは、運営スタッフ全員のチームワークあってこそと感じています。ご参加いただいた皆さま、そして運営を支えてくださったすべてのスタッフの皆さま、心から、ありがとうございました✨
🚀学生スタッフ・オンラインスタッフの皆さま
井出 優理さん、川﨑 隆弘さん、河野 優さん、後藤 槻成さん、千葉 俊彦さん、東本 橙和さん、萩原 宙さん
講演者プロフィール

和田 勝(わだ まさる)氏
JAXA 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 有人与圧ローバーエンジニアリングセンター 技術領域上席研究員
【プロフィール】
日本生まれ(岐阜県)の日本育ち
父親、兄弟とも車好きの家庭で育つ
学生時代にスペースシャトルコロンビアの打ち上げをTVで見て、航空宇宙業界に関心が向く。
大学で航空宇宙学科を学ぶも、まずは社会人として日本の主要産業である自動車業界に身を置こうと判断し、某自動車会社に入社。
米国駐在の期間に、当地で生きた飛行機開発や宇宙開発に触れ、その世界に再び身を置くことを決意。
中途採用でJAXAに入社後、有人宇宙部門で開発最終フェーズの国際宇宙ステーションISS「きぼう」プロジェクトに参加。
打ち上げ前の各種技術調整(ジョンソン宇宙センター)や射場作業(ケネディ宇宙センター)に従事し、打ち上げ後は軌道上組立を地上から技術支援。
「きぼう」完成を見届けて、JAXA安全信頼性推進部に異動し、システム安全担当として宇宙機や実験航空機など様々な安全解析に関与。(ここでシステム安全の魂を学べたと感謝)
その後、有人宇宙部門に戻り、「きぼう」の機能向上や自動化の取り組み、実験ペイロードのインテグレーション等を担当。
ISSの研究開発と並行で、2018年からトヨタ自動車さんと月面ローバーの検討に着手。
2023年11月、有人与圧ローバーエンジニアリングセンターの発足を受け、現職。

深浦 希峰(ふかうら きほう)氏
日揮グローバル株式会社 月面プラントユニット ユニットリーダー
【プロフィール】
1991年生まれ。日系ボリビア移民3世。
11歳までをボリビアの日本人村をはじめとする中南米で過ごす。
大学では学生団体にてハイブリッドロケット開発に従事。
2015年、日揮株式会社(現日揮ホールディングス)入社。
プラントエンジニアとしてLNGプラントやガス処理プラントなど、海外プロジェクトの設計業務に従事。
2018年、社内で宇宙ビジネスを構想する有志活動を開始。
2020年に専任チーム「月面プラントユニット」立ち上げ。
JAXAとの「月面推薬生成プラント構想検討に係る連携協力協定」締結。
2021年~2023年、2年間のJAXA有人宇宙技術部門への出向を経て現職。
月面・月近傍の経済圏創出へ向け「インフラ」という切り口で事業創出、産学連携に尽力する。
運営
主催:宇宙から安全を考える会
共催:宇宙航空研究開発機構 安全・信頼性推進部
共催:一般社団法人宇宙産業機構(宇宙大学)

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