>>内閣府「宇宙スキル標準(決定版)」に宇宙大学・宇宙検定が掲載されました

【宇宙大学】細胞から組織・臓器を創る ~医療から食料そして宇宙まで~ 清水 達也氏【内閣府 宇宙スキル標準 掲載】

医療の常識を変え、食料危機を救い、そして宇宙へ。

私たちの体を構成する細胞から、本物の組織や臓器を創り出す「組織工学(ティッシュエンジニアリング)」。今回の宇宙大学では、日本が誇る最先端の「細胞シート技術」の第一人者であり、循環器内科医の清水達也氏(東京女子医科大学 教授)をお迎えします。

実際に「目で見て動く心臓の組織」を創り出した驚きの研究から、今大きな注目を集める「細胞性食品(培養肉)」の開発、さらには「宇宙空間での生命科学研究」という壮大な未来まで。

医療・食・宇宙が交差する、細胞製造技術の無限の可能性を一緒にのぞいてみませんか?

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こんな人におすすめ

✅再生医療の最先端や、病気・創薬の最新研究トレンドに興味がある方
✅細胞性食品(培養肉)など、未来のフードテック・食料問題解決に関心がある方
✅宇宙ビジネスや、宇宙空間における生命科学・最先端技術の応用に興味がある方

内閣府「宇宙スキル標準」との関連性

気づくセミナー宇宙大学と宇宙検定は、内閣府 宇宙スキル標準に掲載されています。

今回の清水氏の講演と、宇宙スキル標準との関連性を考察しました。

No. スキルカテゴリ スキル項目の内容
8 社会実装化 ・技術やサービスの社会への展開・定着に向けた活動を行うことができるスキル。
・具体的には、実証実験の設計・実施、関係機関や地域社会との連携、制度・規制への対応、導入支援等のスキルが該当する。
・特に、宇宙分野においては、新たな技術やサービスの社会的意義や活用方法、期待される効果を明確に示し、制度整備や社会受容性の確保とあわせて、ユーザーの理解と活用意欲を高める取り組みが求められる。

該当理由
清水氏は、「細胞シート技術」を再生医療や新薬開発に役立てるだけでなく、培養肉などの食料分野や宇宙分野へと応用範囲を広げています。これは、技術やサービスの社会への展開・定着を図り、新たな活用方法や期待される効果を明確にする「社会実装化」のスキルを体現しています。
118 新規顧客開拓 ・新たな顧客層を発掘し、事業機会を創出するスキル。
・具体的には、市場調査、ターゲティング、アプローチ戦略の策定、初期提案・関係構築などのスキルが該当する。
・特に、宇宙分野においては、非宇宙分野との接点を見出し、社会課題と結びつける提案力や、海外顧客開拓を行うための語学力も求められる。

該当理由
このスキル項目には、「非宇宙分野との接点を見出し、社会課題と結びつける提案力」が求められると定義されています。循環器内科の医師である清水氏が、医療分野の技術を食料問題(培養肉)や宇宙開発といった異なる領域に結びつけて事業機会や研究領域を創出している点は、このスキルに該当します。
161 宇宙環境・宇宙生命維持 ・宇宙空間における生命維持に必要な環境条件と、それに対応する技術・生理的影響に関する知識を有し、業務に活用できるスキル。
・具体的には、酸素供給・二酸化炭素除去・温度管理・廃棄物処理、生理・心理的影響に関する理解が該当する。
・特に、宇宙分野においては、閉鎖環境における長期滞在に向けた生命維持システムの設計と評価が求められる。

該当理由
清水氏は、細胞から組織・臓器を創る「組織工学」を専門としており、宇宙での新しい生命科学研究に取り組んでいます。このスキル項目には、宇宙空間における生命維持に必要な環境条件や技術、生理的影響に関する知識が含まれており、同氏の研究内容と直接関連します。
162 宇宙居住空間・構造物 ・宇宙空間における構造物の設計思想、機能、安全性に関する知識を有し、業務に活用できるスキル。
・具体的には、与圧・非与圧構造、遮蔽材や構造設計、展開構造、モジュール接続、宇宙環境(熱・放射線・微小重力等)への対応に関する理解が該当する。
・特に、宇宙分野においては、宇宙ステーション、月面基地、衛星プラットフォームなどの構造設計において、ミッション要件や安全性・信頼性を満たすための設計が求められる。

該当理由
宇宙での食料生産(培養肉)や生命科学研究は、将来の月面基地や宇宙ステーションにおける居住・滞在を支える不可欠な要素です。構造物そのものの設計ではありませんが、宇宙での長期滞在を可能にするための機能や安全性を満たすための研究として、この領域に関連する専門性を持っていると言えます。
163 資源再生プロセス・技術 ・閉鎖環境下における資源再生プロセスおよびその技術に関する知識を有し、業務に活用できるスキル。
・水・空気・エネルギー等の循環設計、尿・湿気・洗浄水等からの水回収技術、フィルタ・蒸留・電気分解等の処理方式、統合的な資源管理に関する理解が該当する。
・特に宇宙分野では、限られた資源を効率的に循環させるための資源再生システムの構築が求められる。

該当理由
清水氏は、藻類を使った環境にやさしい培養液の開発を行っています。このスキル項目は、水・空気・エネルギー等の循環設計や資源再生システムの構築を指しており、限られた資源を効率的に循環させるための技術開発という点で合致しています。

参考:内閣府 宇宙スキル標準

講演者からのメッセージ

私たちの体は、約37兆個もの細胞が集まった、いろいろな組織・臓器から成り立っています。これらの組織・臓器を細胞から創ろうとする学問が「組織工学(ティッシュエンジニアリング)」です。

本講義では、組織工学の一つである細胞をシートのようにして重ねる「細胞シート技術」を用いて、実際に目で見て動く心臓の組織や、薬の効果を調べるためのモデルを作ってきた研究を紹介します。

さらに、この技術が医療だけでなく、細胞性食品(培養肉)などの食料分野や、宇宙での新しい生命科学研究にも広がっていることを解説します。細胞から組織・臓器を創る可能性について、一緒に考え議論しましょう。

参加者アンケート

【楽しかった話、参考になった話、もっと聞きたかった点など】

現時点での、培養食品についてどのようなものがあるのか知れて面白かった。実際に宇宙で培養食品を用いるとするど様々な問題があると思うが、それについて考えるきっかけになった。(堀江 惟翔)

培養肉の話は初めて聴いたので新鮮でした。(永岡 伸一)

第147回 気づくセミナー 宇宙大学


■開催日時:2026年6月15日(月)19:00~

■講演テーマ
「細胞から組織・臓器を創る」~医療から食料そして宇宙まで~

■講演者
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 所長・教授 清水達也

■告知
https://spaceuniversity-20260615.peatix.com

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宇宙大学レポート

「細胞から組織や臓器を創る」。
未来の医療を実現する技術が、いま食料生産や宇宙開発へと広がっています。今回の宇宙大学では、東京女子医科大学の清水達也先生から、「細胞工学(ティッシュエンジニアリング)」をテーマにご講演いただきました。

講演は、ティッシュエンジニアリングの考え方から始まりました。再生医療は、「細胞をどのように用意するか」を研究する幹細胞生物学と、「細胞を組織や臓器へと形づくる」組織工学という二つの柱で成り立っています。細胞だけでも、組織を作る技術だけでも再生医療は実現できず、この二つが融合して初めて新しい医療が生まれます。

組織工学には、スキャフォールド法や3Dバイオプリンティングなどさまざまな技術があります。その中で、東京女子医科大学が世界をリードしてきたのが細胞シート工学です。温度を変えるだけで細胞をシート状に回収できるため、細胞同士のつながりを保ったまま移植できます。この技術は世界初の細胞シート再生医療を実現し、現在では角膜、食道、歯周組織、心臓、肺など幅広い臨床応用が進められています。さらに拍動する心筋組織や血管を持つ立体組織の研究も進み、「臓器を創る」という夢が現実に近づいていることを実感しました。

講演後半では、この技術が医療の枠を超えて活用されていることが紹介されました。

2050年には世界人口が約97億人に達し、食料不足や環境問題が深刻化すると予測されています。その解決策として期待されるのが細胞農業です。細胞から培養肉を作ることで、環境負荷を抑えながら持続可能な食料生産を目指します。先生は、筋細胞シートを積層した培養肉や、藻類を活用した循環型食料生産システムを紹介されました。

さらに、この循環型システムは宇宙開発にも応用されます。月や火星で長期間生活するためには、地球から食料を運び続けることはできません。藻類、細胞培養、リサイクルを組み合わせた持続可能な食料生産は、人類の宇宙進出を支える重要な技術になります。国際宇宙ステーション「きぼう」での細胞研究も進められており、地球で培われた再生医療技術が宇宙での暮らしを支える時代が近づいています。

最後に清水先生は、「今の非常識は未来の常識になる」「夢は人に語り、たゆまぬチャレンジを続けることが大切」と語られました。

子どもの頃に夢中になった『ルパン三世』『鉄腕アトム』『ガンダム』などのスライドが示されたとき、当時は未来に起こるかもしれない光景だと感じていたことを思い出しました。いまそれは少しずつ現実になっています。

細胞から臓器を創り、宇宙で食料を生産する未来が現実となる日はきっと来ます。医学、工学、食料、宇宙。異なる分野を結び付ける発想が、新しい時代を生み出す。その可能性を強く感じる講演でした。

執筆:中小企業診断士 永岡 伸一

登壇者 プロフィール

講演者

清水 達也(しみず たつや)氏
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 所長・教授

【プロフィール】
東京女子医科大学で最先端の生命科学研究を行っている研究者です。もともとは心臓の病気を治す「循環器内科」の医師として病院で働いていましたが、体のしくみをより深く理解したいと考え、大学院で分子生物学の研究に進みました。1999年からは、細胞をシートのようにして重ねる「細胞シート技術」の研究を始め、実際に目で見て動く心臓の筋肉の組織を作ることに成功しました。現在は、この技術を再生医療や新しい薬の開発に役立てるだけでなく、培養肉などの「細胞から食べ物をつくる技術」にも広げています。さらに、藻類を使った環境にやさしい培養液の開発や、宇宙での生命科学研究にも取り組んでいます。

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