>>内閣府「宇宙スキル標準(試作版)」に宇宙大学が掲載されました

レポート記事公開【宇宙大学】宇宙で響け、OPSODIS1 ~ルナグラスで立体音響~/鹿島建設株式会社 村松 繁紀氏×大野 琢也氏


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講演者からのメッセージ

鹿島および京都大学が提唱するルナグラス、マーズグラスが実現すれば重力問題は解消され、地球人は月や火星で生活する時代が始まります。

その時に求められるのは・・・芸術も候補の一つに挙げられるでしょう。とりわけ、「音」「音楽」は人の心を動かし、揺さぶり、喜怒哀楽を表現する事が出来ます♪

「無音の世界」と思われている宇宙でも、月や火星での生活が始まれば「音」は大切な要素の一つと考えます。

ここ地球でも「音」が変われば生活が変わります。

「Life Changer」を目指して、建設会社の鹿島が本気で挑んだ立体音響スピーカー「OPSODIS 1」について、開発責任者の村松が、初めて尽くしの取り組みについてご紹介いたします♪

宇宙関連開発についても、中々ビジネスにするにはハードルが沢山あってご苦労されているかも知れない皆様に、何か一つでもヒントになるお話ができれば幸いです!

そして”OPSODIS技術を宇宙に連れてって♪”

▼OPSODIS1の詳細はこちら
https://www.kajima.co.jp/tech/kajima_group/opsodis1/index.html

ルナグラスとは

人類が月で居住するための人工重力施設です。

▼詳しくは、こちらの記事からどうぞ!
https://spaceuniversity.jp/post-20231222/

第133回 気づくセミナー 宇宙大学

■開催日:2025年7月25日(金)

■講演テーマ:宇宙で響け、OPSODIS1 ~ルナグラスで立体音響~

■講演者:鹿島建設株式会社
オプソーディス・リミテッド東京事務所 事業推進統括部長 村松 繁紀氏
イノベーション推進室 宇宙担当 大野 琢也氏

■司会:宇宙大学アンバサダー カリン パウラ氏

■告知ページ:https://peatix.com/event/4475582

宇宙大学レポート

今回のセミナーでは、鹿島建設株式会社の村松繁紀さんと大野琢也さんをお迎えし、宇宙空間における立体音響技術の可能性についてディスカッションが行われました。

人工重力で快適な宇宙生活を
前半のスピーカーは大野さん。
人工重力施設「ルナグラス」構想についての紹介です。無重力環境では清掃や水分摂取が困難になるほか、視覚障害や骨密度低下など深刻な健康被害が発生します。そこで大野さんは、遠心力を利用して重力を人工的に生み出す必要があると考えました。計画では、高さ400メートル、幅200メートルの巨大施設を月面に建設し、劇場やコンサートホールを備えて地球を眺めながら芸術を楽しむという壮大なビジョンを描いています。映し出されたイメージ画像では、円筒形空間の中心に指揮者。上下逆さまに座った観客に囲まれてオーケストラは音を奏でています。まさに“宇宙でしか体験できない”舞台です。

360度の音を届ける「OPSODIS」
後半は村松さんが登壇。
鹿島建設が30年にわたり研究してきた立体音響技術「OPSODIS」の開発秘話を語ってくれました。幅38センチの小型スピーカー1台で360度の立体音響を再現でき、耳元のささやきから遠くの音まで表現可能。2002年に村松さんは社内の試聴会で初めてその音を体験し、大きな衝撃を受けました。スピーカーは目の前にあるのに耳元で蚊が飛んでくる音が聞こえてくる。私もゾクッとして思わず耳を押さえてしまいました。この技術は音楽ホール設計時のシミュレーションに活用されてきましたが、2019年に技術の存在を再認識し、2020年から本格的なビジネス化が始まりました。

クラウドファンディングで日本記録を樹立
製造業の経験もBtoCビジネスのノウハウもない建設会社にとって、販売方法は悩みの種。そこで出てきた解決策がクラウドファンディングでした。2025年には9億2800万円を集め、日本記録を樹立。初日だけで4000万円を突破し、展示会では長蛇の列ができるほどの注目ぶりでした。村松さんはオペラ歌手としての経験も活かし、映画や音楽、ゲームだけでなく、医療分野での遠隔手術支援など応用範囲を広げています。

宇宙空間での心理的負担を軽減
OPSODISの特性は、狭い空間でも広がりを感じられることです。これにより、国際宇宙ステーションのような閉鎖空間でのストレス軽減に効果が期待されます。宇宙飛行士が地球の家族と同じ部屋にいるような感覚で会話できれば、長期滞在の心理的負担は大きく軽減されるでしょう。セミナーを聞きながら、私は「宇宙船の外で作業する宇宙飛行士と中にいる乗組員が、普通に世間話ができる日が来るかもしれない」と想像してしまいました。

人工重力×立体音響が描く未来
大野さんのルナグラス構想と村松さんの立体音響技術が融合すれば、宇宙空間でも地球と変わらない音環境を実現できます。
建設会社が未知の領域へ挑戦する姿勢は、まさに宇宙開拓の精神そのものであり、人類の宇宙進出を支える重要な技術として期待されています。

執筆:中小企業診断士 永岡 伸一

講演者&司会者 プロフィール

講演者

村松繁紀(むらまつ しげのり)氏
鹿島建設株式会社 オプソーディス・リミテッド東京事務所 事業推進統括部長

【プロフィール】
1993年    :明治大学理工学部電気工学科卒
1993~1997年:鹿島建設株式会社 A/E総事業本部 設備設計部
1997~2000年:関西支店建築設計部設備設計グループ
2000~2003年:建築設計本部 設備設計部
2002年10月31日に社内試聴会でOPSODIS技術による立体音響を体験し、衝撃を受ける
2004~2007年8月:KAJIMA EUROPE 中欧設計室(チェコ&ポーランド)
2007~2020年:建築設計本部 設備設計部
2019年11月に「赤だし会」にて鹿島研究所の音の研究者と相席になり、OPSODIS技術の研究が継続されていることを認識

2020年10月からOPSODISのビジネス化に取り組む
2021~現在  :技術研究所 立体音響プロジェクトチーム オプソーディス・リミテッド東京事務所 事業推進統括部長
趣味は、学生時代から継続しているオペラ出演。現在はプロデュースも手掛ける。

大野 琢也(おおのたくや)氏
鹿島建設株式会社 イノベーション推進室 宇宙担当

1991年 神戸大学工学部建築学科卒業
1993年 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻修士
1993年 鹿島建設入社、設計・エンジニアリング総事業本部
1997年 関西支店建築設計部
2020年 京都大学大学院総合生存学館非常勤講師
2023年 鹿島建設イノベーション推進室・宇宙担当

子供の頃から入社後に至るまで、人類の宇宙進出には重力が大切だと周りに説いて回るも、40年程だれにも相手にされず。
近年、月面居住や火星居住がまじめに議論されるようになり、医学的に低重力の問題点が指摘され始めました。
そのため人工重力が注目されるようになり、大学の非常勤講師までさせていただくようになりました。
周囲からは変わり者に見えるそうですが、実は普通です。

司会進行

Călin Paula(カリン パウラ)氏
宇宙大学アンバサダー

【プロフィール】
【出身】ルーマニア、ブカレスト
【卒業】奈良女子大学 文学部 人文社会学科
【日本居住】 約9年(2016年~現在、ずっと関西です)
【趣味】星空観察、フィールサイクル、瞑想、宇宙大学のイベントに参加することなど

好きな言葉は“wonderlust”。遠くへ行きたい、見たことのない場所を見たいという願望を表すこの言葉には、世界をいろいろな角度から見て、より深く理解したいという人間らしい感情が込められていると思います。

日本が好きな理由は数えきれないほどありますが、そのなかでも一番好きなのは、まるでパズルのピースのような「日本語」です。幼い頃に見たペルセウス座流星群を見た感動をきっかけに、宇宙への関心が芽生えました。日本語を学び、日本での生活という夢を叶えた今、再び心は宇宙に向かっています。

この広い宇宙と人間のつながりを、少しでも深めることに貢献できたら嬉しいと思い、日々学び続けています。
instagram : Pau11c

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