>>内閣府「宇宙スキル標準(試作版)」に宇宙大学が掲載されました

【宇宙大学】全学宇宙教育と国内最大級のアンテナが描く未来 ~福井工業大学 あわら宇宙センター~/福井工業大学より、学長 掛下 知行氏、電気電子情報工学科 教授 村田 泰宏氏

大学としては異例の大型パラボナアンテナを設置し、全学部で宇宙に関する授業を取り入れたカリキュラムを実施していることで注目を集める福井工業大学

福井県やJAXAとも協力し、宇宙教育の浸透に積極的に取り組んでいます。

今回の宇宙大学では、福井工業大学と宇宙を結び付けた立役者である学長の掛下知行氏と、元JAXAで、あわら宇宙センター 副センター長の村田泰宏氏に、お話しいただきました。

講師からのメッセージ

福井工業大学は、2000年から10mアンテナを建設し、宇宙をつなげる地上のアンテナ設備を運用してきた。

2016年には『宇宙』を福井の地域イメージとして定着させ、観光や文化、地域産業の振興を実現することを目的としたプロジェクト「ふくいPHOENIXプロジェクト」が文部科学省私立大学研究ブランディング事業に採択。

事業終了後も宇宙研究のさらなる発展を目指し、2022年に3.9m、2024年に13.5mアンテナをあわらキャンパス内に整備し、JAXA宇宙戦略基金「月-地球間通信システム開発・実証(FS)」にも採択された。

講演では、昨年7月に設立された「あわら宇宙センター」の紹介をしたうえで、このプロジェクトに多大な苦労をした、掛下学長が「あわら宇宙センター」設立までの道のりを語る。

福井工業大学:https://www.fukui-ut.ac.jp/
あわら宇宙センター:https://www.fukui-ut.ac.jp/awara-sc/

第131回 気づくセミナー 宇宙大学


■開催日:2025年7月11日(金)

■講演テーマ:福井のソラから、日本のミライを考える ~福井工業大学 あわら宇宙センター~

■講師:
福井工業大学 学長 掛下 知行氏
あわら宇宙センター 副センター長、福井工業大学工学部電気電子情報工学科 教授 村田 泰宏氏

■司会:宇宙大学アンバサダー カリン パウラ氏

■告知ページ:https://peatix.com/event/4424083/

アーカイブ動画

宇宙大学レポート

冒頭で、なんと13.5mの月通信用アンテナを動かすところからセミナーは始まりました。

福井工業大学あわらキャンパスに設置された宇宙センターは、直径13.5mの月通信用アンテナをはじめ、計4基を備え、地方私立大学として国内でも希少な地上局を有します。

もともと2000年頃に10mアンテナを導入し宇宙研究を開始しました。しかし同アンテナは2015年に故障。2018年に着任した掛下学長は少子化・過当競争の時代に大学がどうやって未来に向かってゆくかを考え、宇宙分野へ進んで行くことを決断しました。当時、ご縁のあった、元宇宙飛行士の毛利衛氏にも会い、その思いは間違っていないと確信されたそうです。

地域と連携した「福井フェニックス」プロジェクトが採択され、2022年に3.9m、2024年に13.5mアンテナを新設。特に13.5mアンテナは高精度設計でX帯受信性能が18mアンテナ並みであり、大学が運用する地上局としては国内唯一のX帯送信能力を誇ります。JAXA、地元福井の大学、企業などと連携し、月・深宇宙探査をはじめ、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。

教育面で、学生に実践的な通信実習を提供。運用演習を通じて人材を育成し、卒業生は宇宙関連企業へと羽ばたいています。地域連携では光害調査や高校生見学会、市民向け講演会を実施し、2025年には電波の日表彰を受けました。

今後は修理中の10mアンテナを電波望遠鏡に再生し、衛星開発から運用・解析まで県内完結のエコシステム構築を目指します。「恐竜と宇宙が共鳴する福井」というブランドビジョンを掲げ、掛下学長の“地方から世界を変える”強い思いは、福井発の月探査を支える重要拠点として、さらに大きく花開こうとしています。

執筆:中小企業診断士 永岡 伸一

掲載記事

あわら宇宙センター様
https://www.fukui-ut.ac.jp/news/education/awara_sc/entry-11687.html

講演者&司会 プロフィール

講演者

掛下 知行(かけした ともゆき)氏
福井工業大学学長

福井工業大学の宇宙研究の現状を作り上げた第一人者

【プロフィール】
北海道 札幌市出身 73歳
北海道大学大学院理学研究科物理学専攻 修士課程修了
大阪大学(助手→助教授→教授→工学部長)
2018年4月より現職
専門:材料科学:金属・セラミックス材料、鉄鋼材料、形状記憶合金、磁石合金、超伝導材料等

村田 泰宏(むらた やすひろ)氏
あわら宇宙センター 副センター長/福井工業大学工学部電気電子情報工学科 教授/理学博士

あわら宇宙センターの実行部隊の1人。
新参者であわら宇宙センターの成り立ちはよく知らない。

【プロフィール】
東京大学理学系研究科天文学専攻博士課程終了
学生時代は、国立天文台野辺山宇宙空間観測所で研究生活
文部科学省 宇宙科学研究所 助手
「はるか」(VSOP)プロジェクト
JAXA 宇宙科学研究所
ASTRO-Gプロジェクト(途中で中断)、美笹54m地上局建設プロジェクト
臼田宇宙空間観測所所長(2016-2023)
2024年3月でJAXAを退職し、
2024年4月より福井工業大学工学部電気電子情報工学科
2024年7月にあわら宇宙センターが設立され副センター長を拝命

司会進行

Călin Paula(カリン パウラ)氏
宇宙大学アンバサダー

【プロフィール】
【出身】ルーマニア、ブカレスト
【卒業】奈良女子大学 文学部 人文社会学科
【日本居住】 約9年(2016年~現在、ずっと関西です)
【趣味】星空観察、フィールサイクル、瞑想、宇宙大学のイベントに参加することなど

好きな言葉は“wonderlust”。遠くへ行きたい、見たことのない場所を見たいという願望を表すこの言葉には、世界をいろいろな角度から見て、より深く理解したいという人間らしい感情が込められていると思います。

日本が好きな理由は数えきれないほどありますが、そのなかでも一番好きなのは、まるでパズルのピースのような「日本語」です。幼い頃に見たペルセウス座流星群を見た感動をきっかけに、宇宙への関心が芽生えました。日本語を学び、日本での生活という夢を叶えた今、再び心は宇宙に向かっています。

この広い宇宙と人間のつながりを、少しでも深めることに貢献できたら嬉しいと思い、日々学び続けています。
instagram : Pau11c

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