理系の多いJAXAで文系ならではの視点で活躍されてきた、参議院議員であり「宇宙かあさん」の愛称で親しまれる水野もと子さん。
今回の宇宙大学では、宇宙業界に長く関わり、かつ政治の世界で「世直し」に挑む水野さんだからこそ語ることのできるテーマでご講演いただきました。
充実した内容に、講演後、「勉強になった」「ためになった」と多くのお声が届けられました!
宇宙への興味が深い方はじめ、宇宙産業に関わる方々も参加されていたため、日本の宇宙業界が今後どうなっていくか、より近いところにいらっしゃる水野さんの考えが知りたいという皆さまの積極的な思いを感じました。
後半の宇宙ディスカッションタイムでは、時間が超過したにも関わらずていねいな回答、解説をいただき、宇宙産業と政治への理解がより深まった方が多いと思います。
と同時に、気取らず飾らない水野さんならではの、本音で前進するお姿も見ることができますので、ぜひ最後までご覧ください。
講師からのメッセージ
JAXA28年勤務&昨年から神奈川県の参議院議員。
子育てしながら宇宙視点で世直し「宇宙かあさん」です。
JAXAでは国際宇宙ステーションのNASA等交渉、国連の宇宙ゴミルール、宇宙ベンチャー振興などを担当。
「種子島宇宙芸術祭」発案者。現在も神奈川ベースで子どもたちがワクワクする事業を仲間と企画中。
宇宙と地球・人類、宇宙開発の歴史、宇宙ベンチャー・宇宙旅行最前線など、楽しんでいただけるよう頑張ります。
第96回 気づくセミナー 宇宙大学(動画:限定公開)
■開催日:2023年11月10日(金)
■講演テーマ:宇宙視点で未来を変えよう! 宇宙法政策・ベンチャー振興を約30年牽引したリアル経験談
■講演者:参議院議員 水野 もと子氏
レポート(講演の主な内容まとめ)
宇宙開発と法政策の歩み
・日本の宇宙開発は戦後の航空宇宙研究の禁止期間を経て、大学主導のロケット開発から始まった。
・国策として宇宙開発事業団(NASDA、現JAXA)が設立され、産業化と国際協力を推進。
・水野氏は文系出身ながら、JAXAで国際交渉や宇宙ビジネスの制度設計、宇宙ベンチャー支援を担当。
技術と法律の両輪
・宇宙開発は技術進化だけでなく、法制度の整備が不可欠。
例:宇宙旅行のための機体ができても、法律がなければ飛ばせない。
・水野氏は、国際宇宙ステーションの商業利用や宇宙活動法(2016年制定)の立案に携わる。
宇宙ごみ(スペースデブリ)問題
・宇宙ごみの増加は宇宙利用の持続可能性を脅かす。
・国連や各国でガイドラインはあるが、法的拘束力が弱く、国際的なルール作りが課題。
・日本はデブリ対策を宇宙活動法の認可条件に盛り込んでいる。
宇宙資源と月の土地
・宇宙条約では「国家による宇宙の所有は禁止」と規定。
・民間の土地所有も法的には認められない。
・現在、月や小惑星の水資源を巡るビジネス・技術開発が活発化。水はロケット燃料や将来の宇宙インフラに不可欠。
宇宙旅行と民間ビジネス
・宇宙旅行は「自己責任(インフォームド・コンセント)」を前提に、米国などでビジネス化が進む。
・日本はリスク回避文化と法制度の未整備が障壁。ベンチャー育成や規制緩和が求められる。
宇宙×アート・教育活動
・アーティストや子どもたちを巻き込んだ「種子島宇宙芸術祭」など、宇宙を身近に感じる活動を展開。
・地元神奈川県でも宇宙とアートを融合した新しいプロジェクトを計画中。
宇宙視点で社会と未来を考える
・宇宙から地球を見ると国境はなく、人類の共通課題が見えてくる。
・科学技術政策や社会の進化には多様な人材と現場感覚が必要。
・政治参加や社会提案の重要性を強調。「政治は未来への責任」と訴える。
ディスカッション・質疑応答
・日本の科学技術政策やリスクテイクの課題、宇宙ベンチャーの育成、政治参加の意義など多様な質問に丁寧に回答。
・「前例主義」や「縦割り行政」がイノベーションの妨げになっている現状を指摘し、マーケット主導の政策転換を提言。
まとめ
水野もと子氏の講演は、宇宙開発の現場経験と法律・政策の視点を交え、日本の宇宙産業の課題と未来への提案をわかりやすく解説する内容でした。宇宙を通じて社会全体の進化や多様な人材の活躍、そしてひとりひとりの社会参加の大切さを訴えています。
メディア掲載
SPACE Media様
https://spacemedia.jp/news/11115
水野 もと子さん プロフィール
参議院議員/宇宙かあさん
【プロフィール】
1994年3月 東京大学法学部卒業
1994年4月 旧宇宙開発事業団(旧NASDA/現JAXA)入社
1997年 外務省国際科学協力室(出向)
1999年 オランダライデン大学留学(国際法修士取得)
2000年 筑波宇宙センター(国際宇宙ステーション法務&一般利用促進担当)
2003年 産学官連携部(宇宙ビジネスの促進担当(宇宙オープンラボ立ち上げ))
2007年 国際部(欧米露協力)
2012年 法務・コンプライアンス課長
2015年 航空技術部門航空産業協力課長(MRJ支援など)
2018年 調査国際部参事(月探査協力)
2022年 輸出管理・技術情報化課参事(経済安全保障制度構築)
2022年7月 参議院議員初当選(神奈川県選挙区)
(自主活動)
中小企業診断士
元東京大学非常勤講師、元慶応大学非常勤講師
航空宇宙学会宇宙法政策委員会委員長(初代)
宇宙芸術研究コミュニティbeyond発起人、種子島宇宙芸術祭発起人・アドバイザー
日本ロケット協会「宙女」(男女共同参画委員会)発起人・委員
東北大学大学院法学研究科博士課程後期在学中(2019.4-休学中)
(主な共著)
「宇宙ビジネスのための宇宙法入門」、「宇宙旅行入門」
Web:https://mizunomotoko.com/
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