火星探査ローバーの世界大会(URC)に出場し、結果を残せるほどの高い技術を持ったチーム「KARURA Project」。日本とアメリカのメンバーが力を合わせ、ローバー開発に挑みます。
KARURAの目標は、将来の国際宇宙開発の発展に貢献すること。
今回の宇宙大学では、今年、日本チームの代表となった辻紅那さん、エンジニアリーダーの高松俊介さん、ビジネスリーダー・サイエンス部門メンバーの堀江優菜さんにお話しいただきました。
司会進行は、KARURAの皆さんとは違う形で宇宙を目指す、同じ大学生の早川明日香さん。大学生パワーを感じる宇宙大学となりました。
KARURA Projectの皆さまからのメッセージ
KARURA Projectは2022年9月に発足した、国際火星ローバー開発プロジェクトです。
日米の大学・高専・高校計20校から宇宙開発への熱意を持つメンバーが集まり、国境・場所の垣根を越えて活動しています。
大会初挑戦の今年5月、世界最大の火星ローバー大会URCの決勝進出を果たしました。
これは日本勢としても、国際チームとしても初の快挙です。
アメリカ合衆国のユタ州に位置する「地球上で火星に最も近い」砂漠MDRSでの決勝を戦ってきました。
裏話もたっぷりの大会出場記や、設計から機体・科学分析機器の製作まで国境を超えて行ってきた開発秘話をご紹介します。
将来の日本の宇宙探査の発展や、国際開発の進展を担うべく奮闘する学生の取り組みをお届けします。
KARURA Projectとは
火星ローバー国際開発プロジェクト。
日米の20にのぼる教育機関から集まった学生で組織されている。
世界最大の火星ローバー大会であるUniversity Rover Challenge (URC) の2024年大会決勝に、日本勢初・国際チーム初出場を果たした。
宇宙開発に情熱を持つ、工学・理学を横断した多様な専門を持つメンバーが集まる。
URC大会優勝、そして将来の宇宙開発を牽引するべく挑戦を続けている。
公式HP:https://karura-project.studio.site/JP
X:https://x.com/karura_urc
Instagram:https://www.instagram.com/karura_project/
YouTube:https://www.youtube.com/@karuraproject
第120回 気づくセミナー 宇宙大学(動画あり)
■開催日:2024年11月13日(水)
■講演タイトル:火星探査ローバー世界大会優勝を目指す!国際チームを率いる日本学生の奮闘レポート
■告知ページ:https://peatix.com/event/4174223
■講演者:KARURA Project
日本リーダー 辻紅那さん
エンジニアリーダー 高松俊介さん
ビジネスリーダー・サイエンス部門メンバー 堀江優菜さん
■司会進行:AstroNOTE 代表 早川明日香さん
動画
https://youtu.be/a9H4YEUBnGc
■KARURA Projectの特長
・学生主体の開発:大学生、院生、高専生、高校生
・国際開発:日本とアメリカで共同開発
・多様で高い技術:宇宙、機械、情報、化学、地質など
2022年のスタートから、1年半で3機の模擬火星ローバーを開発したKARURA。議論も重ね改良し、目指すは世界大会「University Rover Challenge(URC)」。
URCでは、火星探査を想定した以下の4つのミッションが課されます。
・サイエンスミッション
・機器整備ミッション
・運搬ミッション
・自立走行ミッション
今回の宇宙大学では、それぞれのミッションについての詳細も紹介されています。
質問&回答
宇宙ディスカッション(質問タイム)と同じくらい盛り上がった、チャット欄での質問。
そんなチャット欄で、KARURA Project エンジニアリーダーの高松俊介さんが、ていねいに回答してくださったものをまとめました。
質問1:「ROS-2」とは何の略ですか?
回答: 「ROS-2」は「Robot Operation System」の略で、ロボットのプログラムが座標や映像などの情報を簡単にやり取りするためのソフトウェア規格です。多くのロボットで使用されており、初代の「ROS」からアップデートされて「ROS-2」になりました。
質問2:インホイールモーターはEV用を転用しているのか、それとも完全自作か?また、故障はありましたか?
回答: 現在はホビー用のブラシレスモーターと自作のギアボックスを使用しています。モータードライバーが一度焼けたことはありますが、モーター自体は故障していません。
質問3:進行時に障害物を避けるルートはAIで決定しているのか?
回答: ルートは長距離と短距離で異なる方法を組み合わせています。長距離ではGPS座標を使って方向を決め、短距離ではセンサーで障害物を検知し回避しています。
質問4:キャタピラー(無限軌道)は採用されているのか?
回答: 不整地での走行性能は向上しますが、重量増加や整備の大変さから、採用しているチームは少ないです。
質問5:予算の制約について、ロボコンのように厳しいのか?
回答: 予算は約300万円(2万ドル)で、ルールにより規定されています。
メディア掲載
SPACE Media様
https://spacemedia.jp/news/13867
登壇者&司会進行者 プロフィール
登壇
辻 紅那(つじ くれな)氏
KARURA Project 日本リーダー
東京理科大学 創域理工学部 機械航空宇宙工学科 2年
【プロフィール】
小学生から宇宙を志し、中高生時代はリーマンサットにて人工衛星や、ロケットガール&ボーイ養成講座にてハイブリッドロケットを開発。
パテントコンテスト特別賞を受賞し、「微小重力環境で使えるハンガー」の特許を取得。
今年度からはKARURA日本代表として、URC優勝を目指しチームの指揮を執る。
高松 俊介(たかまつ しゅんすけ)氏
KARURA Project エンジニアリーダー
早稲田大学 基幹理工学研究科 機械科学・航空宇宙専攻 修士1年
【プロフィール】
所属研究室は、将来の宇宙機や極超音速航空機のに関わる極超音速予冷ターボエンジンをテーマにしている。
学部生時代は大学のロボコンサークルで活動に打ち込む。
KARURAの立ち上げメンバーであり、モビリティ・ソフトウェアを担当する。
堀江 優菜(ほりえ ゆうな)氏
KARURA Project ビジネスリーダー・サイエンス部門メンバー
東京大学 理科I類 2年
【プロフィール】
惑星を駆動するダイナミクスの解明に興味を持つ。
地球惑星物理学科へ進学予定。
KARURAでは生命探査を担当するサイエンス部門のメンバー。
事務方の統括として、ビジネスリーダーも務める。
司会進行
早川 明日香(はやかわ あすか)氏
AstroNOTE 代表
名古屋大学 工学部 機械・航空宇宙工学科2年
【プロフィール】
幼い頃より有人宇宙開発に惹かれ続け、今もそのワクワクを追い求め活動しています。
様々な宇宙系の学生団体に所属しており、今年の4月には宇宙建築と未就学児向け宇宙コンテンツの開発を行う団体「AstroNOTE」を代表として立ち上げました。
現在思い描く自身の将来像は「宇宙でバリバリ働く地球人」で、自らも有人宇宙開発を盛り上げていく、という軸のもと活動しています。
また、大学では現在、宇宙開発に必要な基礎知識を学んでいます。
自身も将来は宇宙開発を担う一員になれるよう、勉学に励んでいる最中です。
AstroNOTE(公式):https://www.astronote-official.com/
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