人工重力の第一人者、鹿島建設の大野琢也さんと、サステナブル業界の第一人者、日本サステナブル・ラベル協会の山口真奈美さんによる、めったにない異色のコラボ対談をお届けしました。
流暢に待っていられない危機的状況にある地球。近々に取り組まないといけない課題ばかりだけれど、同時に長期的に地球人が皆で取り組む必要もある。少しでもより良い未来を作るため、自分で考え、行動するお二人の取り組みが印象的でした。
講師からのメッセージ
危機に瀕した地球、根本原因も究明されず、解決方法も糸口がない。
そんな時代に人類は宇宙へ進出しようとしている。
地球を守れない人類が、はたして宇宙で暮らせるようになるのだろうか。
交代制から永続的居住に向けた宇宙課題を議論しつつ、自分事、地球事として宇宙史における現世人類を俯瞰する。
第123回 気づくセミナー 宇宙大学(動画あり)
■開催日:2024年12月20日(金)
■講演タイトル:「宇宙×サステナブル」持続性のある宇宙進出のために
■告知ページ:https://peatix.com/event/4219206
■講演者:鹿島建設株式会社 大野 琢也氏、一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会 山口 真奈美氏
アーカイブ動画
https://youtu.be/4pXwQAg24PE
最初に、大野琢也さん、山口真奈美さんの活動や思いをお話しいただき、その後お互いに質問し合う約20分間の対談(ディスカッション)へと続きました。
1Gがつなぐ人類の未来 重力とアイデンティティ(大野琢也氏)
人類の分岐点と重力の問題
宇宙進出にあたり、浮かび上がるさまざまな課題。その一つが重力です。月や火星では地球よりも重力が弱く、長期滞在すると体が低重力という環境に適応してしまい、地球上に戻ったときに自力で立てなくなくなってしまいます。これは、人類の分断を引き起こしかねません。
1G環境がもたらす未来
人類の共通基盤は「地球重力1G」ではないでしょうか。月面や火星で1G環境を作ることのできる人工重力施設は、人類の分断という悲劇を未然に防ぐ装置となり得ます。
人工重力施設とルナグラス構想
人工重力施設「ルナグラス構想」では、宇宙で1G環境を再現します。自ら希望して宇宙へ移住する第一世代、宇宙で生まれ育つ第二・第三世代。どの世代に生きようと、宇宙と地球を行き来できる未来を目指します。
永続的な人類の未来のために
ルナグラス構想により、「地球人」としての一体感を保ち、持続可能な未来を築くことができるでしょう。
未来を選ぶ消費 エシカルライフと地球のバランス(山口真奈美さん)
地球の資源が足りなくなる未来
私たちが日本を含む先進国のライフスタイルを続けると、地球4つ分の資源が必要になるといわれています。このように、自然環境はすでに劣化し、持続可能な社会の実現が難しくなっているのが現状です。
製品・サービスと環境問題のつながり
私たちが手にする製品やサービスは、原材料の調達から廃棄・リサイクルに至るまで、環境や社会に大きな影響を与えています。例えば、どこで採れた原材料か、製造や物流の過程でどれだけ環境負荷がかかるのかを考えることが重要です。
エシカル消費と持続可能なライフスタイル
エシカル消費とは、人や地域、社会、環境に配慮した行動や考え方がなされた「モノやサービスを選んで消費する」こと。意識を向けることが重要です。私たちの「買い物」は、未来への投票なのです。
地球と宇宙の未来のために
地球上で解決されない課題が山積みのまま、私たちは宇宙へ進出しようとしています。しかし、人間の営みが生態系と調和しなければ、宇宙でも同じ問題を抱えることになるでしょう。自然と経済、人間社会のバランスを考えながら、持続可能な未来を目指すことが求められています。
メディア掲載
SPACEMedia様
https://spacemedia.jp/news/14178
講師 プロフィール
大野 琢也(おおのたくや)氏
鹿島建設株式会社 イノベーション推進室 宇宙担当
1991年 神戸大学工学部建築学科卒業
1993年 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻修士
1993年 鹿島建設入社、設計・エンジニアリング総事業本部
1997年 関西支店建築設計部
2020年 京都大学大学院総合生存学館非常勤講師
2023年 鹿島建設イノベーション推進室・宇宙担当
子供の頃から入社後に至るまで、人類の宇宙進出には重力が大切だと周りに説いて回るも、40年程だれにも相手にされず。
近年、月面居住や火星居住がまじめに議論されるようになり、医学的に低重力の問題点が指摘され始めました。
そのため人工重力が注目されるようになり、大学の非常勤講師までさせていただくようになりました。
周囲からは変わり者に見えるそうですが、実は普通です。
山口 真奈美(やまぐち まなみ)氏
一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会 代表理事
サステナビリティー・アドバイザー
【プロフィール】
サステナビリティに関するコンサルティング・アドバイザリーや、教育研修・ライフスタイルの提案等を手掛ける。
研究所を経て2003年FEM設立、外資系認証機関の日本法人代表も兼任後、2017年日本サステナブル・ラベル協会設立。
環境や社会に配慮した持続可能な国際認証を軸に、多岐にわたる認証を支援。
持続可能なサプライチェーンとビジネスの構築、サステナブル・ライフスタイルが浸透する社会変革を目指し、日本エシカル推進協議会 副会長、環境ビジネスプラス 理事長、オーガニック関連団体の理事や大学講師等、様々な活動にも従事。
近著に『サステナブル調達を成功させるための国際認証の教科書』『58人の未来を考えるエシカル経営の専門家が書いたエシカルバイブル』等。
公式サイト:https://jsl.life/
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